10/50|桜の木の下で

6月。
あーめーがふるー(コーラス:あーめーがーふるー)
だーかーらーいーちーばーんー
だーかーらーいーちーばーんー
つっまっらっなっいーつーき 6月ロック。

……x-ペケ-ネタなんて理解されないっすね。
とりあえず50の御題を続々消化中。分量が減っているのは、お題が決まると、それを持って来るためシーンの切れ端という形になるから、必然と小さな分量になる。そういう言い訳。
 コツコツリハビリ。脳みそから糖分を出してやらねば。
 
料理人と文_10桜の木の下で 
 
 6月のある日、料理人は困っていた。目の前には、薄い簾の様な雨模様が延々と続いている。
この景色を、かれこれ2時間見ていたが結局雨はやまなかった。待ったところで、強くも弱くも
ならなかったのだ。
「まいったなぁ、これは」
 料理人は一人ごちる。ここは人里、彼の用事は食材の買出しだったのだが、帰る段になって、
静かに雨は降り始めた。雨脚もそれなりで、おそらく走って帰っても、荷物と共々ずぶ濡れに
なる程度だ。かといって、このままここでぼうっとしていても、家に帰れる訳でなし。
 このままこの桜の木を借りるのも忍びない気もする。人気も少なく寂しいし、何よりお腹が減ってきた。
 
 そんな事を考えていた所、ふと昔の歌を思い出した。
「あめあめふれふれかーさんが……」
 
 
「じゃーのめーでおーむかーえうーれしいなっ♪」
「ぉお!?」
 びっくりして辺りを見回す。
 桜の幹の裏から覗く鴉天狗の少女が、ニコニコとしながら傘を差していた。
「ああ、文。迎えに来てくれたんだ?」
「ええ、あんまり遅いものですから、心配になっちゃいましたよ」
「悪い、傘持って来ればよかったね」
 まぁ、朝は晴れていたし、朝焼けは綺麗だったから、てっきり晴れるものだと思っていたのだが。
「朝焼けは崩れるものですよ、○○さん……」
 と、呆れ顔の文に突っ込まれる。
「でも、忘れて正解かも知れないですよ?」
 と言うと、僕の腕を引っ張って、傘に引き入れた。
「傘は一本しか持ってこなかったんですから」
「なるほど」
 そんなに大きく無い傘だから、二人で入るに少し狭い。だがその狭さが心地良かった。
「えへへ……さ、帰りましょう?」
「ん」
 傘を持つ手を重ねると、自然と肩が重なる。僕らは心地良い距離で歩き出した。
ほおずきの花が2輪、雨に弾かれて揺れるのが見える。……ほおずきか、食えたかな。
「そうだ。晩御飯、何にしようかね?」
「そうですねぇ。あ、そういえばこの前おそうめん貰ってましたよね?」
「うん、……もうそれでいいか」
「ええ、てことは初おそうめんですね」
 ぱちゃぱちゃと水を跳ねながら射命丸は楽しそうに歩く。
「そうか、もうそろそろ夏なんだものなぁ」
 少し見上げる。さした蛇の目の紅色の、向こう側のにびいろの、さらに先にあるであろう、
青空を幻視する。晴れ間は覗かなかったが、気づけばどうやら雨はやんだらしい。
「今年も川遊びしましょうね」
「ああ、花火もね」
 
 僕らは気づかない振りをして、わざとゆっくり歩いていった。少しでも、この楽しい時間が続くように。
 
@あとメモ
ジッタリンジンの相合傘は、あくまで片思い歌だから、矢野顕子の相合傘をBGMにしてみた。
まじで矢野顕子さんは神。夢のヒヨコからずっと神だけど。
 
お題の10番目。桜の木の下。死体も宝も埋まってませんよ。宴会も無いです。
時期をずらして6月の、葉桜の下で雨宿り。
「相合傘で歩きたくって」と、「ほおずきクスクス 相合傘 道行」は名フレーズなので
上記二曲は聴いてほしいのです。
 
なんだか、オススメソングの紹介だけになった。
あと僕聴いてる歌の影響が作品に出すぎている気がする。反省。
1200字くらい。ショートとして短すぎるかな。どのくらいが短編ssになるんだろう。
@メモあと